
【読書録】
2025年10月は、旅先でエッセイを2冊読了しました。あまり普段読むジャンルではないのですが、移動中に手軽に読めそうと手にしたところ、思った以上に新鮮な気持ちで楽しむことができました。
■父の詫び状/向田邦子
日本を代表するドラマ脚本家で小説家の一人、向田邦子さんの作品を初めて読了。一篇一篇がまるで2時間ドラマのように濃い内容でした。一見関わりのなさそうなエピソードを、結末に向かって見事にまとめ上げる手腕にはただ感服です。
軽妙な語り口からは温度や匂い、味まで鮮やかに浮かび上がるようで、昭和のドラマに出て来そうな封建的な父親もどこか哀愁漂う憎めない魅力があり、作者の家族を思う暖かいまなざしを感じました。
特に、東京大空襲の日に家族揃って泥だらけの自宅で白いご飯を囲んだエピソード「ごはん」は、戦争の悲惨さの中にもユーモアが添えられており、印象に残りました。事故による急逝は非常に残念で、改めてその才能が惜しまれました。
■心のある家/三浦綾子
既に何冊か読んでいる三浦綾子さんのエッセイ。「氷点」「塩狩峠」の作者として有名ですが、教員時代の生徒たちの話、旭川の自然、闘病生活や夫との日々、クリスチャンとしての暮らしなど、実直で真面目な人柄が文章につづられています。
まるで朝の新雪のような、白く透明感のある内省的で謙虚な筆致と思えば、親近感やユーモアも光っており、ご本人の人柄が滲むよう。生徒思いの先生だったことも伝わります。信仰に関するエピソードも多いのですが、宗教的な堅苦しさは感じず読み進めることができました。
本書は亡くなる5年ほど前に刊行されたものですが、こういった方が確かに生きていたのだと思うと、何となく心が穏やかになります。今回も安心して読める一冊でした。
これからは気になるエッセイも少しずつ読んで、さまざまな視点を楽しんで行けたら良いなと思いました。本日もブログを読んでいただき、ありがとうございました!📚