【読書記録】
東野圭吾「白鳥とコウモリ」を読みました。長編でしたが、先の気になる展開に旅先の移動時間で一気読みしてしまいました…!疾走感のある展開はもちろん、時事問題もしっかりと取り入れている所が、何作も飽きずに読める理由の一つであるかもしれません。
東野圭吾氏の小説で私がいつも凄いと思うのは、読み始めて数ページで読み手の心をつかんで離さない、読書開始3分で既に面白くて世界に引き込まれてしまう部分です。
伏線の張り方など技術的な部分に着目しがちな私。一方で本作を薦めてくれた母曰く、愛情や優しさを感じる所が東野小説の魅力であるとのことでした。
なるほど。。何だか当たり前に受け止めていましたが、作品を通じて、読み手が愛情や優しさを感じられる、と言うのはとても大切ですね。
また、本作の重要人物として、被害者家族の女性と加害者家族の男性が登場します。犯罪や事件が起きた時に被害者、あるいは加害者家族のプライバシーがさらされることが長年問題視されてきましたが、その流れは今マスコミだけでなく、SNSが発端になるケースも増えて来ています。
私が社会人になった頃は、まだまだインターネット黎明期で、個人情報保護法もようやく浸透を始めたかという時代。交通ルールが定らないまま車とバイク、歩行者が入り乱れて道路を歩いていたような時期でした。それに比べて今の若い人と話すと、ネットや個人情報に関するリテラシーが高くなっていて驚きます。教育が行き届いて来ているのでしょうね。
それでも事件が起きた時、ネット上でプライバシーの暴露や憶測、誹謗中傷が依然として飛び交ってしまうのは、悲しいですがこの世から犯罪が無くならないのと似ているのかもしれません。
現代社会で、せめて創作の中では多くの人が純粋な愛情や優しさをシンプルに感じたくなる気持ちは、よく解る気がします。
本日も読んでいただいてありがとうございました。